こうしたブレイクを練習するには、実際にラックを組み、ブレイクショットだけの練習をするのが一番よい。又、センターショット(練習課題参照)をブレイクに見立てて練習することで方向性のよいハードショットを練習することができる。但し、的球を1個にして練習するときは力を抑えないとボールが飛び出してしまうことがあるので要注意。本番のブレイクショットは1個のボールの質量で9〜15個のボールを散らすわけだから的球の個数が増えるほどより大きなパワーが必要となる。
いちいちラックを組むのが面倒で、もっとブレイクだけの練習に専念したいという人は、こんな練習方法もある。
1、まず古くて、いらなくなった電話帳(または分厚い漫画本)を1冊用意する。厚さは手球と同じくらいが理想的だが、少なくとも手球の半径よりも十分に厚いものでないといけない。
2、次に、その電話帳をガムテープでぐるぐる巻きにして直方体が歪みにくいようにする。そして背表紙の中央にダーツの的のようなものをマジックで描いておく。この的はちゃんと背表紙の寸法を計って、正確に中心に描くこと。
3、今作った電話帳の的が、ラックの代わりとなる。電話帳に描かれた的がちょうどフットスポットの真上にくるように電話帳を置く。その際、背表紙の面をブレイクを撞く手球へ正しく垂直に向けるようにする。(サイドブレイクをする人ならば、電話帳も斜めに置かれる)
4、あとはひたすら電話帳に向かって、ブレイクショットを撞けばいい。的を左右に外した不正確なブレイクを撞いた場合は、電話帳は重心を外れてヒットされるので、くるりと向きを変えてしまうだろう。また、うまく的にヒットした場合、電話帳はブレイクの衝撃に応じて平行移動する。その距離によって、自分の撞いたブレイクショットの衝撃力を「測定」できる。
ブレイクショットを撞くときの手球の位置については、ルール上は、手球の中心がヘッドラインを越えない限り(ブレイクエリア内の)どこからでもよい。中央から撞かねばならないというルールはない。
ナインボールでは長クッションに手球を寄せた位置からの「サイドブレイク」が多く用いられている。この狙いは、1番を反対側のサイドポケットに確率よく入れることにある。そして手球はテーブルの中央付近に停止することで散らばったその他のボールを八方ににらみ、そのまま最後までの取り切り(英語では、ブレイク・アンド・ラン・アウト=Break and Run Out、日本では俗に「マスワリ」という)をしようというものである。角度をつけてラックを狙うと的が小さく思えるという人がいるが的は始めから1番だけである。ボールは球体なのでどこから狙っても的の大きさに変わりはない。単なる錯覚である。確かにテーブル中央よりも角度をつければ1番までの距離が少し(10センチ程度)長くなるのでエネルギーの損失が理論的にはある。だがわずか10センチ程度の距離の差で手球の力が著しく奪われるわけでもないし、それを犠牲にしてでもブレイクでまず1個の球を確実にいれることの方が9ボールでは戦略的に重要視されるのである。
事実プロの試合では、1番がサイドに入る確率が非常に高い。また9ボールの菱形のラックでは、両隅に置かれたボールのポケットされる確率が次に高い。
勿論、センターからのブレイクで自分にとってよい結果をコンスタントに得られているのならば、それでよい。プロの話では、その日の自分のコンディションによって、またテーブルの癖によってなど、色々な条件を考えてもっともよい手球の位置を模索するという。使いこまれたテーブルならば、ブレイクショットによって跡がついているだろう。その跡は「多くの人がここからブレイクしている(=結果のよいブレイクが撞ける)」という印と見て参考になる。
9ボールにおけるブレイクショットでの手球の位置としては、中央、左右のレール際、左右のレールから約1ポイント程度、という5ケ所くらいしか用いられない。
中央は極力至近距離からのブレイクで衝撃力を最優先し、ブレイク9を狙おうというもの。左右のレールブレイクは、先頭の1番ボールをサイドに狙うことが主眼。中間的な位置からのブレイクは、2列目(1番の後ろ)のボールを長クッションに1度入れてから反対側のサイドへ狙おうという目的がある。
とはいうものの、ブレイクショットで、何かのボールを狙いをもって高確率で入れることは困難である。狙いだけではうまくいきにくいので、パワフルなショットによりラックを大きく散らし、偶発的にでも何かを入れようとなるわけである。
そんなブレイクショットでも、サイドブレイクでは1番をサイドポケットに狙える確率が高い。特にプロの試合などでは、サイドブレイクからのマスワリの確率が高過ぎるという理由から、左右のクッションから1P以上離れた位置に「ブレイクゾーン」を設けて、そこからしかブレイクしてはいけないというルールの大会もある。
アジア大会やオリンピックの種目として、ビリヤードのスポーツ性を考え、こうしたルールの調整や変更が、今後も行なわれるかも知れない。
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